旅するスクールとは、旅をしながらライティングとカメラを学ぶ新しい学校です。2017年2月に長野県塩尻市で第1弾が行われてから、今回が9回目。キャンセル待ちになるほどの人気のスクールになりました。
今年の旅するスクールは愛媛県大洲市と宮城県山元町の2県での開催です。四国の穏やかな雰囲気を感じながら、人のあたたかさに触れた2日間となりました。
大洲市を肌で感じる
成田空港から飛行機で1時間30分程で松山空港に到着すると、外は少し雨がポツポツと降っていました。四国の、しっとりとした雰囲気を肌で感じながら車で揺られること1時間。今回のお宿である「はたごや霧中」に到着です。古いお家を改装してできたゲストハウスは、オーナーの穏やかな雰囲気も相まって、とても素敵な空間でした。と、そんな雰囲気に浸る暇もなく、ここで参加者とスタッフで自己紹介と名前リレーを行います。
名前リレーで場の空気が和んだ後は、早速カメラ講座。今回、講師を務めてくださった方は、土屋百合子さんというお方。普段は、大洲市の「笹川写真館」でカメラマンとしてたくさんの人を撮影しています。
講座ではカメラの使い方から、撮る際に心がけることなどを教わりました。レクチャーを受けた後は、街を散策しながらパシャパシャと写真の練習です。散策しながら向かった先は、「臥龍山荘」。国の重要文化財に登録されている、明治の匠が残した数奇に飛んだ三建築、日本庭園のある別荘です。
雨でしっとりとしていて、「晴れていたらもっといい景色を見られたかもしれないな~」なんてことを思っていましたが、街のガイドをしてくださった玉井さんによると「雨が降っている時の臥龍山荘は最高」。言われてみれば、雨だからこそのいい雰囲気が漂っていました。
参加者もみな、自由に想い想いの写真を撮っていました。いい景観とのびやかな雰囲気で、時間を忘れてしまうほど。それに、パシャパシャと撮った写真をすぐにカメラマンさんにチェックしてもらえるなんて、とーってもうれしい。
そして、その後は「おおず赤煉瓦館」のカフェ「甘味霧中」でかき氷をいただきました。かき氷がサーブされたら、また写真をパシャリ。そんなに写真ばかりを撮っていたら、食べる前に氷が溶けてやせ細ってしまうのになぁ~なんことを思っていましたが、みなさん写真ばかり撮っていましたね。(笑)いいですね、その前のめりさ。
お互いのことを知る時間
かき氷を食べて幸せな気持ちになった後は、もう一度宿に戻ってライティング講座を行います。講師は愛媛県松山市在住のハタノエリさん。普段ライターとして様々な文章を書いているだけあってとても面白かった。文章を書く時に意識するポイントや心構えを学びました。レクチャーを聞くだけでは終わりません、実践ワークも行いました。
2人1組になって、お互いについて聞き合い、最後は文章にまとめて発表をしました。発表時間は短かったですが、それでも、その人の人となりを知ることができました。みなさん、それぞれに人生のストーリーがあって「あぁ~なんか、色々な経験を乗り越えているんだな~」としみじみ。最近、人のバックグラウンドを聞くことが多いのですが、そうすると、自分が気にしていることなんて米粒みたいなもので、悩むのが馬鹿馬鹿しくなってきますね。
傷だらけになる経験って死ぬほど辛いけれど、影があるからこそ人っていい味が出るんじゃないかな~なんてことを思いながら話を聞いていました。
無事にインタビュー講座を終えたら、お待ちかねの温泉と夕食タイムです。温泉に行く人達を横目に、入らない人たちは宿で飲み会がスタート。ゲストハウスの管理人さんとそのシェフさん、そして数名でペチャクチャおしゃべりしていましたが、完全に飲み屋のテンションでした。(笑)そんな中、お風呂組が戻ってきました。みなさん、しっかりとあたたまれた様で、顔がスッキリとしていました。疲れが少し取れたみたいで良かったです。
そして、待ちに待った夕食タイム。お腹が空きすぎて一瞬で食べ物が減っていく瞬間を目の当たりにしました(笑)お腹がペコペコだったんでしょうね(笑)そんな感じだったので、食前に写真を撮るのを忘れました・・・地味にショック。
お酒も飲みながらだったので、みなさんよく喋る&よく笑う。あれ?初めて会った人たちだよね・・・と思ってしまうくらいのノリでとっても楽しそうでした。わたしは途中で脱落して別の階の寝室に行ったのですが、お布団にゴロンとしていても1階からの笑い声が響き渡ってきて、つられました(笑)近所迷惑になっていなかったのかが若干気になりますが(笑)、なにはともあれ、みなさん楽しんでいたみたいで本当に良かった!
もちろん、飲んで終わりではありません。次の日のインタビューに向けて下調べと質問内容のまとめを行いました。旅スクに参加してくださる方って、こういう部分は本当にしっかりとしてくださるんですよね。そして夜も深くなってくると、徐々に静かになっていきました。
大洲の人に触れ、ストーリーを聞く
みなさん朝6-7時くらいに起床です。それから、各々、1時間ほど散歩に行ってきました。朝の大洲は昨日とは少し違う雰囲気を醸し出していました。川や木々を眺めて歩くこと20分、大洲神社に到着。人がいなかったので、とても静かで、セミの音がミンミンと体に響いてとても心地のいい空間でした。何にも追われない、何も気にしない時間を持つのは本当に大切だと痛感しました・・・
有意義な朝の時間を過ごした後は、朝食です。サンドイッチとスープ、そしてポテトサラダ。デザートには大洲の名物「志ぐれ」と「月窓餅」をいただきました。どっちもモチモチしていてとてもおいしかった。
朝食を終えたら、早速、参加者一人一人の写真撮影。みなさん、いろいろなポーズを取ってくれました。どう使われるのかが楽しみ。そして、次は、お待ちかねのインタビューです。まずは2チームに分かれて、「コーヒー屋さん」さんと、「映画づくりの人」に会いにいきました。
「コーヒー屋さん」の今井絵里さんは、今年の8月10日にホンジュラス直輸入コーヒーを販売する「カトラッチャ珈琲焙煎所」をオープン。そのコーヒー豆は、澤田典康さんが経営する「酒乃さわだ」で販売しています。元々は教師の道に進もうとしていた今井さんですが、海外青年協力隊での経験を通して、恵まれない人のために自分で何かできないか?と考え、コーヒー農家さんから直輸入したものを使用するコーヒー屋さんを開くことになったそうです。
人のことを自分事として捉えられる人柄と、行動力がすごいなと思いました。自分は人に対して本当の思いやりを持てているのかな・・・?そんなことを考えさせられた時間となりました。「また愛媛に遊びに来たいです」と言った私の一言に対して「月曜日に来てくれたら案内しますよ~」と。邪気とケガレの無い笑顔を見たら、口だけじゃなくて本当にそう思ってくれているんだろうなって素直に受け止められるくらい素敵なお方でした。愛媛、いいですよ。
そして、次のインタビュー者である竹内さんは、海産物屋さんをする傍ら映画制作に携わっている面白いお方です。長浜地区の有志で自主映画「赤い橋がある町で」が制作されましたが、その制作にも携わっていらっしゃいました。この映画が制作された理由や制作の裏話や今後チャレンジしたいことなどをたっぷりと伺うことができました。
今まで映画に関わる人にであったことが無かったので興味津々。あー、やっぱり、実際に自分でいろいろと頑張っている人に話を聞くのって本当に面白いですし、何においても裏話って面白いですよね(笑)ライターがどんな文章を作ってくれるのか楽しみです!
そして、インタビューを終えたらランチタイムです。ランチは、スパゲッティやハンバーグなど満腹になれるメニューで満足でした。お腹を満たしたら、ラストの取材です。最後は大洲市で自分のドレスブランドを立ち上げた青木みちこさん。「atelier NUTE」では、オーダードレスの制作、洋服のリメイクや裁縫教室なども主催されています。
「好きなことを突き進めていたら、今のカタチになっていた」とおっしゃる青木さんのお言葉は、サラリーマンとして働く人たちにはズドンと響くのではないでしょうか?好きなことにまっすぐと進む姿は、本当にキラキラしていました。でも、好きなことを貫き通すってすごく勇気のいることだと思うんですよね。リスクや孤独とも向き合わなくてはいけないですし。それでも突き進んでいる方にはエールを送りたいし、少しでも力になれたらと思います。
青木さんのインタビューでは地元のケーブルテレビの取材が入っていたので、インタビュー担当の人が緊張するかなと心配しましたが、そんなこともなくて堂々と話を聞きだしてくださいました。頼もしかったです。
2日間を振り返る
インタビューを終えたら、宿に戻って振り返りの時間です。「参加して本当に良かった」「想像していたよりも濃い時間を過ごせた」「また参加したい」なんて声を聞くことができました。
そして、何よりも私が感動したのは、運営スタッフである大洲市役所の高橋さんの感想です。「大洲で旅スクを開催するために2年以上かかったけれど、こうしてみなさんに楽しんでもらえて良かった」というお言葉。大洲市役所で旅スクの許可をもらうために申請した分厚い資料を見て、組織の中で新しい企画を通すのには骨が折れる作業が必要なんだと感じるとともに、大変ながらもやり通して下さったことに感謝でした。
最後、涙がポツリと頬をつたっている姿をみて胸がじんわりと熱くなりました。そういう方たちのお陰で、私たちを含め、参加してくださる人たちがいい経験をできるんですよね。ありがたい。
そんなこんなですが、今年の旅スクはまだまだ始まったばかり。まだまだ楽しみましょう~
引き続き、レポートを楽しみにしていてくださいね。それではまた次回💛
文:藤本真希