旅するスクールとは、旅をしながら、ライティングとカメラを学ぶ、新しい学校です。2017年2月に長野県塩尻市で第1弾が行われてから、今回が7回目。キャンセル待ちになるほどの人気のスクールになりました。

9月に引き続き、10月の旅スクの舞台は宮城県山元町。前回とはまた一味違った、町の風景や人と出会う2日間になりました。

9月のレポートはこちら↓

トマト農園に神社、まちの魅力を発掘!カメラ、ライティング。それぞれが感じた「山元町」「山元人」をかたちに。(旅するスクール第7弾)

いざ、山元町へ

山元町の玄関口はJR常磐線の山下駅。仙台駅からJR常磐線に乗り換えて電車にガタンゴトンと揺られること40分。山下駅の改札前に集合して、ここからいよいよ旅するスクールのスタートです!

東京で行われたカメラ講座から時間が経ち、久々の再会でちょっぴり緊張したおももちの中、マイクロバスに乗り込み、オリエンテーションの会場である「合戦原学堂」へ向かいます。

到着したら、皆で円をつくって座布団に座り、自己紹介開始。旅スク恒例の「名前リレー」も行い、すっかり和んだ雰囲気になりました。

場の緊張がほぐれてきたところで、山元町についての紹介です。山と海、両方にほど近い山元町はりんご、いちご、ほっき貝、ヒラメ、カレイとたくさんの名産があること。

2011年の東日本大震災では町の人口の4%を失い、20%以上が流出し、いちごハウスの95%が津波に飲み込まれてしまったこと。

最近では震災の復興事業に伴って遺跡の発掘調査が行われており、古墳時代の遺跡が発見されたこと。まちの内外へ魅力を発信しようと2015年から「山元はじまるしぇ」を開催していることなど。

都会で生活していたらあまり気に留めていなかったことがたくさん。聞けば聞くほど山元町のいろいろな面を知ることができました!

取材の心構えを学ぶ

山元町の説明の後は、プロのカメラマンである栗原大輔さんによるカメラ講座です!

カメラの撮り方、仕組みなど、とっても丁寧に説明していただきました。実際にカメラを触りながら、「もっと明るく撮るには?」「ピントを合わせるには?」など、いろいろと試しながら「いい写真」を撮ることに、みなさん夢中になっていました。

その後は、待ちに待ったランチタイムです!お昼は山元町の名物である「はらこ飯」。この時期にしか食べられないシャケといくらはとってもおいしく、大満足でした♪

お腹を満たした後は、プロライターの谷津智里さんによるインタビュー・編集講座です。まずは、インタビューや編集で大切なことやポイントを教えていただきました。基本を押さえた上で、参加者が2人1組になりインタビューとライティングを実際に行いました!講義を聞くだけでなく、実際にやってみると何を聞くか悩んだり、文章にまとめる時に苦労したりして、新しい発見がありました。

取材を通して山元町を深く知る

講座が終わったら実際の取材に向かいます!大正7年に創業された、ぶどうジュースの製造を行う「田所食品株式会社」の社長さんへの取材です。

と、その前に、ぶどう畑の中を案内してもらいました。ぶどうは、収穫する人の背丈に合わせて実がなっていて、頭の近くにぶら下がっているぶどうからは甘い香りが漂っていました。そこで、栽培方法など、ぶどうについてのアレコレを教えていただき、とっても勉強になりました。

そんな中、カメラ担当は栗原講師に指導をしてもらいながら、きれいな写真をパシャパシャとたくさん撮っていました。

ぶどう畑の後は、室内に移動して社長さんへの取材本番です!社長さんのバックグラウンドや仕事に対する想い、そしてこれからのことなどを聞くことができました。地元でしっかりと経営をされている姿はたくましく、なんだか惚れ惚れとしてしまいました!

取材の時間もあっという間で、名残惜しい気持ちで退散。外に出るともう真っ暗。東北の冷たい風を感じながら、「わたり鳥の海温泉」へと向かいました。冷え切った体で入る温泉は格別で、みなさんリフレッシュできた様です。

そして、夕食の時間です。お店は「ごはんと麺の店 見晴」。家庭の味を思い出すようなほっこりする味付けとあたたかいお店の雰囲気もあり、和やかな夕食タイムとなりました!

夕食を終えたら、旅スク恒例の宿である「ミガキハウス」に向かいます。宿に着いた後は、ちょこっとだけ谷津講師による編集講座を行いました。実際に取材を経験した後に受ける講座は、とても理解しやすかったです。

そして、その後は皆で懇親会。お酒やお菓子をつまみながら、みなさん好きなように時間を過ごしていました。(笑)

リンゴ畑、海、ここの自然を感じる

ミガキハウスでの朝は、きれいな空気に包まれて、とっても爽やか。清々しい気持ちでりんご畑へ向かいました。みなさん写真を撮るので時間を忘れるほど。

その後、マイクロバスに乗り込み、町境の磯浜漁港へ。と、そこに向かう途中で農産物直売所「夢いちごの郷」に寄り道です。お店には地元でとれた野菜やぶどう、りんごなど季節のくだもの、ジャムやジュースの加工品、雑貨が並んでいます。りんごの食べ比べが出来て、やっぱり宮城のりんごはとってもジューシーでおいしかった!

そして、磯浜漁港の海岸に到着。流木を立てて遊んだり、お茶を飲んでみんなでまったりしたり、のんびりと想い想いの時間を過ごせました!

優雅な時間を過ごした後は、ラストの取材です!

山元町のあたたかさを感じる

取材先は、建設会社「岩見組」の社長さんとその奥さまです。町づくりや人とのつながりなど、とってもほっこりするお話を伺うことができました。

あたたかいご夫婦の姿を見ていて、人生で一番大切なものって人としてのあたたかさなのかなとか、ゴニョゴニョ、いろいろな考えが頭を巡りました。20代前半、人生に迷っていた時、80歳の紳士なお医者さまに「愛はいいものだよ」というお言葉を頂いたことを思い出していました。(笑)

と、まあ、そんなことはさておき、この頃になるとカメラ担当は、写真を撮るのにも慣れ、頼もしかったですね。

あっという間の振り返りタイム

最後の取材を終えたら、「つばめの杜ひだまりホール」に戻り、振り返りの時間です。「旅行でくるよりも学びが多くて楽しかった!」「震災の後やこの町を自分の目で見て、耳で聞けてよかった」などといった言葉が聞け、みなさん大満足の様子でした。

また山元町や、ほかの町の旅スクに続いていきます。次の旅するスクールと、完成したフリーペーパーを、みなさんどうぞお楽しみに!

文:藤本真希 写真:栗原大輔